赫光かっこう)” の例文
ちょうど、夕陽の頃だったから、開いた瞳孔に、その赫光かっこうも手伝って、頭からの鮮血と思われたものにちがいない。
「おおっ、御仏みほとけっ」泣いてさけんだ、焔へ向っても狂わしいほど感謝した。まったく、赫光かっこう大紅蓮だいぐれんのうちに見える生信房の男々おおしい働きは、生ける御仏としか見えなかった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして一とすじの尾を曳いた黒雲が、中天に昇ってゆくのを仰いでいると、一せん赫光かっこうまなこを射、とたんに、無数の妖星と砕け散って、世間の空へ八方飛んでわかれてゆくのが見えた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)