赤坊あかんぼ)” の例文
呶鳴どなり立てる、赤坊あかんぼはオギャア/\と泣出しましたゆえ、おかめは思わず赤坊に心を取られ、ばったり落しましたは紺縮緬の胴巻を見て
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と言い聞かされて、私は小さい赤坊あかんぼの兄になるのをうれしくは思ったが母の懐に別れなければならないことの悲しさに涙ぐまれて冷たい乳母の胸に顔を押し当てた。
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
昼間の光に薄黄色い火の線と白い陶器せとものの笠とが充分いつぱいにダラリと延ばした紐の下で、畳とすれすれにブランコのやうに部屋中揺れ廻つて居る、地震かしらと思ふ内に赤坊あかんぼが裸で匍ひ出して来た
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ひそめし赤坊あかんぼのあり
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
背中へ竹の突通るほど赤坊あかんぼを藪のなけほうり込んですてるとア鬼のような心だ
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
赤坊あかんぼが啼く、赤坊あかんぼが啼く——嘘だ、嘘だ、それは何かの思ひなしだ。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)