貢税こうぜい)” の例文
各地にある“散所”というのは、貢税こうぜいのかからない無税の地のことである。河原、芦原、瓦礫がれきの巷など、不毛の土地には税がない。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、自分らは政所まんどころ直属の者でおざる。つまり貢税こうぜいの急務をおびて、当地のみならず、東国諸所へまかりくだるもの、いちいちの先触れなどはしておらぬ」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……で、あなた様にも、さきに申しあげたとおり、諸国への貢税こうぜいの新制度やらその他の策を、明日にでもさっそくおうえへ御建議あることを、どうぞお忘れなきように
そして数日間、中央との行政の打合せやら、貢税こうぜいの状況などを、府官から訊き取ったりしていた。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武家幕府がおこってからは、兵馬の権はもとより、政治は一切、朝廷を骨ヌキにして奪われ去り、全国の土地、貢税こうぜいなども、武家支配下の守護しゅご地頭じとうにおさえられて、みかどの御料や公卿
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかもなお当分は、諸国の貢税こうぜいによる国費の予算案などは立つ見込みもない。