負郭ふくわく)” の例文
尤も前にも云つたやうに、「負郭ふくわくの田三百畝、半はきびう」と云ふので、いんの為に家産がわづらはされるやうなおそれは、万々ない。
酒虫 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
劉の家産も亦とんとん拍子に傾いて、今では、三百畝を以て数へた負郭ふくわくの田も、多くは人の手に渡つた。劉自身も、余儀なく、馴れない手にすきを執つて、佗しいその日その日を送つてゐるのである。
酒虫 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)