象潟きさがた)” の例文
文化元年六月には、羽前、羽後に地震があって象潟きさがたに海嘯。また文化九年十一月には、武蔵に地震があった。文政四年十一月には、岩代の地震。
日本天変地異記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
羽黒の三山に登って酒田に出で、吹浦ふくうら象潟きさがたを見物して矢島に入り、鳥海ちょうかいの北麓では十月もまだ月始めに、はやひどい風雪に遭っているのである。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
象潟きさがたの猟師のひなびたとまぶきの家、佐野の舟橋、木曾の桟橋かけはしなどのありさまは、どれひとつとして心かれないところはなかったが、そのうえなお西国の名所・歌枕を見たいものだと思って
実は羽越線の吹浦、象潟きさがたのあたりから、雄物おもの川の平野に出てくるまでの間、浜にハマナスの木がしきりに目についた。花はもう末に近かったが、実が丹色に熟して何とも言えぬほど美しい。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
むらさきにほふ武蔵野の原、塩竈しほがまぎたる朝げしき、一〇象潟きさがたあまとまや、一一佐野の舟梁ふなばし一二木曾の桟橋かけはし、心のとどまらぬかたぞなきに、なほ西の国の歌枕見まほしとて、一三仁安三年の秋は