諛言ゆげん)” の例文
然れども余は存生中の人を評論するに於て、二箇のおもしろからぬ事あるをおもんぱかるなり、其一は、もし賞揚する時に諛言ゆげんと誤まられんか、若し非難する時に詬評こうひやうと思はれんか、の恐れあり。
俗務をおッつくねて、課長の顔色をけて、しいて笑ッたり諛言ゆげんを呈したり、よつばいに這廻わッたり、乞食こつじきにも劣る真似をしてようやくの事で三十五円の慈恵金じえきんに有附いた……それが何処どこが栄誉になる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)