誘出おびきだ)” の例文
世間の快楽については、何もしらぬらしい養父から、少しずつ心が離れて、長いあいだの圧迫の反動が、彼女をもすると放肆ほうしな生活に誘出おびきだそうとしていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
彼は追手の舟を湖心に近く誘出おびきだして置いて、いきなり方向を転換し、湖の東岸へとまっしぐらに走っている。そして、高く手を振りながら、さもさも愉快そうに、カラカラと笑っている。
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
狂言して姉夫人を誘出おびきだし得たのであった。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)