観音崎かんのんざき)” の例文
尻屋しりやの燈台、金華山きんかざんの燈台、釜石かまいし沖、犬吠いぬぼう沖、勝浦かつうら沖、観音崎かんのんざき浦賀うらが、と通って来た。そして今本牧ほんもく沖を静かに左舷さげんにながめて進んだ。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
「降伏を許す。東京湾観音崎かんのんざき沖へ行け。われ海中より監視す。不穏(おだやかでない)の行動あるものは、ただちに撃沈する!」
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
のみならずペリイは測量艇隊を放って浦賀付近の港内を測量し、さらに内海に向かわしめ、軍艦がそれを掩護えんごして観音崎かんのんざきから走水はしりみずの付近にまで達した。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一番外側の聴音隊は、北から西へ廻って云ってみると、埼玉県の粕壁かすかべ、川越、東京府へ入って八王子、神奈川県の相模川に沿って鎌倉へぬけ、観音崎かんのんざきまでゆく。浦賀水道にも船を配して聴いている。
空襲下の日本 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その夜の明けがた、二人を乗せたモーター・ボートが、朝霧の中を観音崎かんのんざきの沖へきえた。その行方はわからない。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
観音崎かんのんざきの燈台、浦賀、横須賀よこすかなどの燈台や燈火が痛そうにまたたいているだけであった。しけのにおいがやみの中を漂っていた。落伍らくごした雲の一団が全速力で追っかけていた。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)