要屋かなめや)” の例文
「若しか、——若しか、御主人は谷中三崎町の、おえふといふ女を御存じありませんか、——要屋かなめやとかいふ小料理の看板を上げてゐる」
というのは、それより半月ほどまえ、城下の要屋かなめや喜四郎という商人が、借財不払いの件で矢堂を町奉行へ訴えた、ということを聞いたからである。
改訂御定法 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
要屋かなめやの隠居山右衛門は、芝神明前のとある夜店の古道具屋の前に突っ立ったきり、しばらくはうなっておりました。
念のために訊いて廻るうち、いきなり悲鳴に驚いて飛び出して見ると、月下の路地の中に、脇腹を短刀に刺されて、要屋かなめやの隱居は倒れてゐたといふのです。
念のために訊いて廻るうち、いきなり悲鳴に驚いて飛び出して見ると、月下の路地の中に、脇腹を短刀で刺されて、要屋かなめやの隠居は倒れていたというのです。
要屋かなめやの隱居山右衞門は、芝神明前のとある夜店の古道具屋の前に突つ立つたきり、暫くはうなつてをりました。
要屋かなめやのお葉は、昨夜ゆうべ一と晩外へ出なかつたのか、——大事なことだ、よく考へてから返事をしろ」
折角狙つた要屋かなめやの家督は、赤の他人の、養子山之助に取られてしまつた久吉としては、何時暖簾のれんを分けて貰ふ當てもないこのせつ、隱居が五十兩で茶碗を掘り出した夢中な姿が