裁縫おはり)” の例文
上塩町地蔵路次の裏長屋に家賃五円の平屋を見付けてそこに移ると、早速、裁縫おはり教えますと小さな木札を軒先につるした。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
そういえば裁縫おはりの師匠の内の小女こおんなが、たったいま一軒隣の芋屋から前垂まえだれで盆を包んで、裏へ入ったきり、日和のおもてに人通りがほとんどない。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
裁縫おはりは出来るの」
小さきもの (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
いや、事実ですよ……家はこんなでも、裁縫おはり先方さきに、また、それぞれともだちがありましてな、それ引手茶屋の娘でも、大分工合ぐあいが違って来ました。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
裁縫おはりは絹物、久留米物など上手とはいえなかったが、これは母親譲り、月謝五十銭の界隈の娘たち相手にはどうにか間に合い、むろん近所の仕立物も引き受けた。
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
まるで裁縫おはりをするために生れて来たような女で、いつみても、薄暗い奥の部屋にぺたりと坐り切りで縫物をしていたが、お君が十五の時、糖尿病をわずらって死んだ。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)