術無じゆつな)” の例文
露置く百合ゆりの花などのほのかに風を迎へたる如く、その可疑うたがはしき婦人のおもて術無じゆつなげに挙らんとして、又おそれたるやうに遅疑たゆたふ時
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
その術無じゆつなき声は謂知いひしらず母の胸を刺せり。彼はこの子の幼くて善く病める枕頭まくらもとに居たりし心地をそのままに覚えて、ほとほとつと寄らんとしたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
為失しなしたりと貫一はひそか術無じゆつなこぶしを握れり。満枝はなほも言足らで
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)