新字:処刑
此上のお願ひには親分さん、この私に親の敵を討たせ、重なる罪のお處刑を、立派に受けさせて下さいませんか、お願ひでございます
これが、表沙汰になると、輕いお處刑ぢや濟まない、——お柳さんさへその氣なら、何處か姿の見えないところへ逃げて貰ふことだね
「でも、何んにも知らないものが、出來心で穴の中から五十兩見付け、それを隱したばかりにお處刑になつちや可哀想ぢやありませんか」
「お處刑に上がる前に、所名前が知れるが、——さうすると、初代勘兵衞が江戸に居た事になる。構はないだらうか、師匠」
「お孃樣、——私は處刑になつても本望ですが、——たつた一と言、やさしい言葉をかけて下さい、——お孃樣、お願ひ」