藪不知やぶしらず)” の例文
十坪程の土間に、離れ離れに三四脚のテーブルが置かれ、常緑樹の大きな鉢植えが、その間々に、八幡やわた藪不知やぶしらずの竹藪の感じで並んでいる。
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
さては深更よふけまで営業している理髪店まであるに至っては、私のようなそそっかしいものは、うっかり飛び込んだらとんだ八幡の藪不知やぶしらず、出口も入り口もわからなくなってしまうかもしれない。
艶色落語講談鑑賞 (新字新仮名) / 正岡容(著)
「何が何だか分りゃしない。まるで八幡やわた藪不知やぶしらず這入はいったようなものだ」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
横町を曲ると、陰気な住宅街で、頭より高い生垣が、両側にまるで八幡やわた藪不知やぶしらずみたいに、うねうねと続いていた。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)