藤花とうか)” の例文
この家で昔藤花とうかの宴があったのはちょうどこのころのことであったと院はみずからお言いになったことから、昔と今の間の長いことも考えられ、青春の日が恋しく
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
が、これは血ぐさい遊戯なので、禁裏の催しには、春ならば、藤花とうかをかざり、牡丹ぼたんうてなをつくったりなどして、陪観ばいかんの公卿朝臣あそんも、みな衣冠をただして、中門廊ちゅうもんろうのうちにいならぶのである。
その前日に帝は藤壺ふじつぼへおいでになって、藤花とうかの宴をあそばされた。南のひさしの間の御簾みすを上げて御座の椅子いすが立てられてあった。これは帝のお催しで宮が御主催になったのではない。
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
藤花とうかかんむり
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
藤花とうかの宴も続いて同じ日に行なわれることになっているのである。もう桜の盛りは過ぎているのであるが、「ほかの散りなんあとに咲かまし」と教えられてあったか二本だけよく咲いたのがあった。
源氏物語:08 花宴 (新字新仮名) / 紫式部(著)