藤尾ふじお)” の例文
貴所方あなたがたは」と糸子を差し置いて藤尾ふじおが振り返る。黒い髪の陰からさっと白い顔がす。頬の端は遠い火光ひかりを受けてほの赤い。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
常でさえ宗近君につらまると何となく不安である。宗近君と藤尾ふじおの関係を知るような知らぬようなに、自分と藤尾との関係は成り立ってしまった。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
主人公は机の前へ座を移して、口から吹く濃き煙を眺めながら考えている。今日は藤尾ふじおと大森へ行く約束がある。約束だから行かなければならぬ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)