薪小屋まきごや)” の例文
「洗濯物取りにりゃあの雷だね、わたしゃ薪小屋まきごやに逃げ込んだきり、出よう/\と思ったけンど、如何しても出られなかったゞよ」
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
提灯を持って、風呂番の勢吉が、薪小屋まきごやから出て来た。浴衣を引っかけてその後ろに立ったのが今の男で、この家の主人らしく、四十がらみの苦み走った町人だ。提灯には、朱文字で
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「知れたこと、おれたちは、御厨みくりやの野武士だ。声をたてると、ぶッた斬るぞ。餓鬼どもの生命いのちなどを取りに来たのではないから、踏みつぶされないように、薪小屋まきごやにでも引っこんでいろ」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
又八はその小屋の裏にくっ付いている、薪小屋まきごやの内へほうりこまれた。薪ばかりでなく物置として沢庵樽たくあんだるだの漬物樽だの、炭俵だのが、積んである。そこへ出這入りするのは、炊事をする小者だった。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)