蓑笠みのがさ)” の例文
ほどなく、大江たいこうのまん中へかかる。張順、帆綱ほづなの加減を取っている截江鬼のそばへ来て、着ていた蓑笠みのがさをかなぐり捨てた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
苦々しげに見やった街道を、練って行く一隊の蓑笠みのがさがあります、その数都合十四五頭もありましょう。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
蓑笠みのがさするや否やたちま戸外そとへ出て、物静かに戸を引寄せ、そして飛ぶが如くに行ってしまった。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と、人々は、土間先の壁にかけてある蓑笠みのがさなど見まわしつつ、そも吉野太夫が、どんな亭主ぶりで款待もてなすことやらと、順に部屋へはいって行った。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十二分の同情をもって入口をあけてやると、果して、鐙小屋の神主が蓑笠みのがさでやって来たのです。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
蓑笠みのがさをつけた舟夫せんどうが一人、勇敢にをあやつっているだけのものです。