葵山きざん)” の例文
今から丁度十年ほど前、自分は木曜会の葵山きざん渚山しょざん湖山こざんなぞいう文学者と共に、やはり桜の花のさく或日の午後ひるすぎ、あの五重の塔の下あたりの掛茶屋かけぢゃやに休んだ。
霊廟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それと反対に、生田葵山きざん氏はまた雷が大嫌ひで、それが少しでもきこえ出すと、顔が青くなつた。新宿停車場で、一度ひどい雷に逢つて、一時気絶したことがあつた。
迅雷 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
この人或日の夕元園町もとぞのちょうなる小波先生の邸宅に文学研究会あり木曜日の夜湖山こざん葵山きざん南岳なんがく新兵衛しんべえなんぞ呼ぶ門人多く相集まれば君も行きて見ずやとてわれを伴ひ行きぬ。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
いささか気勢を添へんものと或日風葉ふうよう葵山きざん活東かっとうの諸子と共に、おのれも市村座に赴きぬ。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)