葬礼とむらい)” の例文
旧字:葬禮
なぜか、葬礼とむらいの式につらなったようで、二人とも多く口数も利かなかったが、やがて煙草たばこまないで、小松原はつくばった正吉を顧みて
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なにしろ日本橋の上を通る葬礼とむらいの早桶が毎日二百も続いたというのですから、お察しください。
半七捕物帳:59 蟹のお角 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
耽溺たんでき、痴乱、迷妄めいもうの余り、夢ともうつつともなく、「おれの葬礼とむらいはいつ出る。」と云って、無理心中かと、遊女おいらんを驚かし、二階中を騒がせた男がある。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が、界隈かいわいの荒れた卵塔場から、葬礼とむらいあとを、引攫ひっさらって来たらしい、その提灯は白張しらはりである。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)