荒陵あらばか)” の例文
天王寺を中心とする荒陵あらばか聚落じゅらくには、こまかい庶民の屋根が、低地低地に密集している。そしてここにも散所民さんじょみんの生態がそっくりあった。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先ごろから彼の潜伏していた荒陵あらばか一帯の村々に、いつとはなく、諸方の野伏のぶせりが寄って来て、自然な水溜りへ水がかさむように、それが千人ちかくにもなって来ては、もはや六波羅密偵の眼も
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)