草昧そうまい)” の例文
“Oh, le bon temps, que ce siècle de fer!”(おお、この草昧そうまいの時代の、楽しかりしころよ!)
人類がまだ草昧そうまいの時代を脱しなかったころ、がんじょうな岩山の洞窟どうくつの中に住まっていたとすれば、たいていの地震や暴風でも平気であったろうし
天災と国防 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
野蛮草昧そうまいの世の中なれば、教えの趣意もその時代の風俗人情に従い、天下の人心を維持せんがためには、知りてことさらに束縛するの権道なかるべからず。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
草昧そうまいの世に一国民の造った神話を、そのまま歴史だと信じてはいられまいが、うかと神話が歴史でないと云うことを言明しては、人生の重大な物の一角が崩れ始めて
かのように (新字新仮名) / 森鴎外(著)
時は初冬の草昧そうまい戸外そとは一面靄立ちめ人の姿さえ朧ろである。
これは映画の草昧そうまい時代において、波の寄せては砕けるさまがそのままに映るのを見せて喜ばせたと同様に、トーキーというものにまだ一度も接したことのない観客に
映画雑感(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
桂川甫周ほしゅう、杉田鷧斎いさい等起り、専精してもって和蘭の学に志し、相ともに切磋せっさし、おのおの得るところありといえども、洋学草昧そうまいの世なれば、書籍しょじゃくはなはだとぼしく、かつ、これを学ぶに師友なければ
慶応義塾の記 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)