若衆わかいしゅう)” の例文
坂東美津江や常磐津金蔵を崇拝した当時の若衆わかいしゅうの溢れみなぎる熱情の感化に外ならない。
伝通院 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
……(寒い風だよ、ちょぼ一風いちかぜは、しわりごわりと吹いて来る)と田越村たごえむら一番の若衆わかいしゅうが、泣声を立てる、大根の煮える、富士おろし、西北風ならいの烈しい夕暮に、いそがしいのと、寒いのに、向うみずに
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
若衆わかいしゅうであろう潜戸の向こうで、こう素っ気なく挨拶をした。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
実は今日さる処まで暑中見舞に出掛けたところ途中でお店の若衆わかいしゅうに行き堀田原ほったわらの先生が日蔭町ひかげちょうのお屋敷へしかじかとのお話を聞き、わしも早速先生の御返事が聞きたさに急いでやって来ましたのさ。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)