芳原よしわら)” の例文
幕府の末期までこの辺に伝馬町てんまちょう大牢おおろうとともに芳原よしわらがあったので、芳町といい大門通りというのも、それにちなんだものだと言われていたが
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「その、船頭が御客を乗せて芳原よしわらへ行くとこなんで」「大変な幕をやりましたな」と教師だけにちょっと首をかたむける。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その、燦爛たる光景はまた見物です——大にしては紀文なるものが、芳原よしわらで黄金の節分をやった時のように。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
翌年ひとり芳原よしわら小格子こごうしに遊び、三年を出でざるに、東廓南品、甲駅、板橋、凡そ府内の岡場所おかばしょにして知らざる処なきに至る。二十四歳海外に渡航するや五大洲各国の娘子軍じょうしぐんげきまじへ皆抜羣ばつくんの功あり。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)