花輪車かりんしゃ)” の例文
悦びといまいましさと、切なさが、幻燈の花輪車かりんしゃのように、赤く黄色く青く、くるくると廻る——そんな時に、国もとへ帰れと呼びかえされた。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
紫の幕、くれないの旗、空の色の青く晴れたる、草木の色の緑なる、ただうつくしきもののいやが上に重なり合ひ、打混うちこんじて、たとへばおおいなる幻燈うつしえ花輪車かりんしゃの輪を造りて、はげしく舞出で、舞込むが見え候のみ。
凱旋祭 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
幻燈の花輪車かりんしゃのよう辮髪の先の灯は、百千ももちに、千々ちぢに、躍って、おどって、果てしなかった。まさにまさしくこれだけは逸品だった。二十人あまりのお客たちが言いあわせたように拍手をおくった。
随筆 寄席囃子 (新字新仮名) / 正岡容(著)