花時はなどき)” の例文
可笑おかしかったのは、花時はなどき向島むこうじま高櫓たかやぐらを組んで、墨田の花を一目に見せようという計画でしたが、これは余り人が這入はいりませんでした。
江戸か東京か (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
花時はなどきに上野の方へ人出の多いは不思議がないが、昼でもぎの出そうな佐竹の原へこんなに人出があるとは妙な時節になったものだと思って仕事をしていたことであった。
花時はなどきにはいい香がかおって来て、桃色の窓掛の裾から私どものお室へはいって来てよ、そして緑色と金色とで羽根を飾った小さい鳥が、しじゅう丘の草原とレモンの花の間と
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
毎年の花時はなどき……特に昨年の花時は東京の人気に一大変化を画した時であったから。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
花時はなどきの天使園。
第二海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)