船長おやじ)” の例文
「馬鹿な。何を云うんだ。船長おやじだって何もお前達の気持を踏み付けて、あの小僧を可愛がろうってえ了簡じゃないよ。今にわかるよ」
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「どっかへフッ飛んじゃったい。船長おやじ晩香坡バンクーバからさけかにを積んで桑港シスコから布哇ハワイへ廻わって帰るんだってニコニコしてるぜ」
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
俺はそう云いさしてチョックラ船長おやじの顔色をうかがってみたが、何の反応も無い。相も変らず茶色の謎語像スフィンクスみたいにプッスリしている。無愛相ぶあいそうの標本だ。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
コック部屋に無けあ船長室に在る筈だ。そいつをぱらって来い。なぐられるもんか。愚図愚図ぐずぐずかしたら俺が命令いいつけたと云え。船長おやじには貸しがあるんだ。……行って来い……。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……聞こえないか……君はチョットその呼鈴ベルを押してくれたまえ。……何だボン州か。ウン。コック部屋に行って珈琲と菓子を貰って来い。普通のじゃ駄目だぞ。船長おやじが上海で買込んだ奴があるんだ。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)