船室キャビン)” の例文
僕は変に不愉快な悪寒さむけがしたので、これは空気がしめっているせいであろうと思った。諸君は海水で湿しけている船室キャビンの一種特別なにおいを知っているであろう。
私は人のいない船室キャビンでこれを書いている。今もなお時どきにびくりとしたり、または頭の上の甲板に死んだ人の神経的なはや跫音あしおとを聞くように思ったりして——。
食後、一同は思い思いに船中に散らばって、一団は甲板椅子へ帰り、中には、食堂から直ぐ自分の船室キャビンへ引き籠ったきり、眩暈よい気味なのか、出て来ない人もあった。
海妖 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
熱帯とも思われぬような涼しい風が吹いて船室キャビンの中も涼しかった。
旅日記から (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「だれか、だれかこの船室キャビンに入ったわ……」
水中の怪人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
一等船室キャビンの甲板から頓馬とんまな首をのばして
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わしの船室キャビンにはたいしたものもないが、まあ、そんなつまらないものでも売り払ってしまって、その代金は鯨油の代金が船員のあいだに分配されるように、平等にかれらに分配してやってくれたまえ。
「じゃあ船室キャビンまで送って行きましょう」
水中の怪人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「あたし船室キャビンに入るわ」
水中の怪人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)