膝行袴たっつけばかま)” の例文
いかにも、山詰やまづめの武士らしい膝行袴たっつけばかまばきの影が十人ばかり、各〻短槍たんそうげて、獣群を放したように草ぼこりを立って来た。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
寒いはずだ、膝行袴たっつけばかま筒袖つつそで布子ぬのこ一枚、しかし、腰の刀は身なりにも年にも似あわぬ名刀のしろがねづくり。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
美といっては、或いは、誤るおそれがある。衣飾の美や皮膚の美ではない。着ているものは、胴服の継ぎはぎした物。穿いているのは染色も分らなくなっている革の膝行袴たっつけばかまにすぎない。
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)