膏雨こうう)” の例文
自分の眼が、ひとたびその邪念のきざさないぽかんとした顔にそそぐ瞬間に、僕はしみじみ嬉しいという刺戟しげき総身そうしんに受ける。僕の心は旱魃かんばつに枯れかかった稲の穂が膏雨こううを得たようによみがえる。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)