脱沓くつぬぎ)” の例文
建物の前には黒い虎のうずくまっているような脱沓くつぬぎ石があった。広巳はへやの中を見た。室の中には二十七八に見える面長おもながの色のくっきり白い女が、侵されぬ気品を見せて坐っていた。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
広巳の眼は脱沓くつぬぎの方へ往った。そこに庭下駄が一足揃えて置いてあった。広巳はそれを見ると脱沓の方へ往って、その下駄の片方をるなり、蛇の処へ走って往っていきなりなぐりつけた。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)