脚絆草鞋きゃはんわらじ)” の例文
定紋じょうもんはなごま博多はかたの帯を締めて、朱微塵しゅみじん海老鞘えびざやの刀脇差わきざしをさし、羽織はおりはつけず、脚絆草鞋きゃはんわらじもつけず、この険しい道を、素足に下駄穿きでサッサッと登りつめて
渡り鳥のように四国の脊梁山脈せきりょうさんみゃくを越えて南海の町々村々をおとずれて来る一隊の青年行商人は、みんな白がすりの着物のしりを端折った脚絆草鞋きゃはんわらじばきのかいがいしい姿をしていた。
物売りの声 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
とがった三角がたの軍帽をかぶり、背嚢はいのう襷掛たすきがけに負い、筒袖つつそでを身につけ、脚絆草鞋きゃはんわらじばきで、左の肩の上のにしき小片こぎれに官軍のしるしを見せたところは、実地を踏んで来た人の身軽ないでたちである。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)