サト)” の例文
其後十二年、南家の娘は、二十ハタチになつてゐた。幼いからのサトさにかはりはなくて、玉・水精スヰシヤウの美しさが益々クハハつて来たとの噂が、年一年と高まつて来る。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
其とも一つ、あゝした明治時代の歌舞妓の延長舞台と、新劇畠の書き物とは、余程趣きが違ふと言ふこと——、此は、菊五郎君のサトさを蔑視するやうな訣り過ぎた話だ。
雑感 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
姫の心は、こだまの如くサトくなつて居た。此才伎テワザ経緯ユキタテは、すぐ呑み込まれた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
其で、男女は唯、長老トネの言ふがまゝに、時の来又去つた事をヲソはつて、村や、家の行事を進めて行くばかりであつた。だから、教へぬに日月を語ることは、極めてサトい人の事として居た頃である。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)