耳心じしん)” の例文
耳心じしんをすまして聞き惚れると、音色はまぎれもあらぬ宗長流、しらべはゆうべの山千禽やまちどりである。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「む、いつ聞いても悪くないのう……」さっきから耳心じしんを澄ましていた一角はひとりでつぶやく。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
深夜、人なき浴槽に身をひたして、こんこんときだす温泉いでゆのせせらぎに耳心じしんを洗いながら、快い疲れをおぼえていた法月弦之丞は、やがて湯から上がって衣類をつけなおした。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)