翠巒すゐらん)” の例文
雨後の翠巒すゐらんは一際鮮かで、注意してよく見てゐると、峰は大きく二つに分れてその二つがまた處々深い溪によつて幾つかの峰に分れてゐる。
湖光島影:琵琶湖めぐり (旧字旧仮名) / 近松秋江(著)
不圖、何かに驚くもののやうに私は立ち留つて、四圍の翠巒すゐらんにぽツと紅葉が燃え出してはゐないかしらと、見廻したりした。
滑川畔にて (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
然し京都には幸にして近世文明の容易に侵略する事を許さぬ東山の翠巒すゐらんがある。西山北山を顧望するも亦さほどに都市發展の侵害を被つてゐないやうに見えた。
十年振:一名京都紀行 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
青山せいざん翠巒すゐらん應接にいとまがない。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)