羞明まぶし)” の例文
青年の方でも、俄かに鼻さきへ突きつけられた美しい娘の顔に気がついて、どぎまぎしながら羞明まぶしそうに横を向いた。
或る母の話 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
初冬の光は町の空に満ちて、三人とも羞明まぶしい位であつた。上田の城跡について、人通りのすくない坂道を下りかけた時、丑松は先輩と細君とが斯ういふ談話はなしを為るのを聞いた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
僕の目には、いつも見た時と、どこがどう変っているか、わからなかったが、とにかくいつもとまるで違った美しさであった。女の顔が照り赫いているようなので、僕は一種の羞明まぶしさを感じた。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)