美男葛びなんかずら)” の例文
うしろへ這い寄っていた二人の番の者が、かれの足をすくった。又四郎の足は、宙の美男葛びなんかずらを蹴って、井戸のなかへ身を逆さまにちて行った。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
菖蒲畑の側にある木戸から、地境じざかいにある井戸まで、低い目垣めがき美男葛びなんかずらが冬枯もしないで茂っていました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
毎朝美男葛びなんかずら梳付ときつけて貰って、それから学校へ行き行きしていた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それは美男葛びなんかずらといってね。夏は青白い花が咲くのだ。もうつぼみがあるだろう。実が熟すると南天のように赤くて綺麗だよ。蔓の皮をいで水に浸すと、ねばりが出るのを
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
ただ釣瓶つるべを上げた枡形ますがたの石井戸に桟蓋さんぶたがしてあって、美男葛びなんかずらのつるのからんでいるのが妙に心をひく。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは、美男葛びなんかずらの巻いている井戸屋根の柱に立てかけてあった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)