羅刹谷らせつだに)” の例文
高氏は郷里足利ノ庄に居ず、去年、京の羅刹谷らせつだにをひきあげたのちも、ずっと鎌倉表にいた。だから彼の出陣は鎌倉から立たねばならない。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はい。いぜんの羅刹谷らせつだににはおいでなく、あれよりもっと山深い木挽こびきの小屋に兵火の難を避けておられました」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「……なるほど、仰せのとおりでございますな。私もこの春、洛南らくなん羅刹谷らせつだにで会うたきり、足利殿には、ついぞお目にかかっておりません。近ごろ、どうしておられますやら」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いうまでもなく、まぼろしの敵にたいする先帝奪回の封じ手だった。——高氏の一ぜいなどもまた、羅刹谷らせつだにを出て、大和口の三ノ橋に、こよいも篝火かがりびをさかんにし、非常の警備についていた。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ときどき、羅刹谷らせつだにの奥まったところで、平家琵琶のかなでを独りほしいままにして、都の焦土も、千早金剛のあらしも、いや春闌はるたけて来た山の色の移りも知らぬかのような者がいた。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と近くの羅刹谷らせつだにから、しょっ引いて来たものだった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
玄蕃げんば羅刹谷らせつだにの下を行け。七条を廻って帰ろう」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
羅刹谷らせつだにとかいいますよ」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
羅刹谷らせつだにとしてあるな」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
羅刹谷らせつだに
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)