給仕ギャルソン)” の例文
若い給仕ギャルソンたちが高くささげた大盆をたくみに肱であやつりながら、絶えず動いて、雑沓している客たちの前へ、盃を、コーヒーの茶碗をくばり
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
給仕ギャルソンがやってきて、みなが迷惑しているから窓をしめさせてくれというと、ママ薯は噛みつくような調子で、ユウ・シャラップと怒鳴りつけておいて
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ボア公園で馬車を乗り棄て、やがて或るレストオランへ入って空席をさがしていると、給仕ギャルソンがやって来て
孤独 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
給仕ギャルソンがブリオーシュ(パン菓子)を籠に積み直してテーブルに腹匍はらばいになって拭く。往来の人影も一層濃くなって酒にくつろげられた笑い声が午後の日射しのなかに爆発する。
巴里祭 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
何か御用でムッシュウ・エダアム?」と、うやうやしく一斉にお辞儀をした。狐につままれたような顔をして給仕ギャルソンの大群を見廻していたコン吉は、おろおろと舌をもつらせながら
給仕ギャルソンには足が無いのか、空を踏むような軽い動作だ。銀器も慎しんでその重量を隠している。
食魔に贈る (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「あら、いやよ! 給仕ギャルソン。これではあまり生焼セニャン過ぎるわ。もう少しよく火を通して来てちょうだい」
給仕は自然いじける。今夜聴き得た情況はわずかに料理場で鵞鳥がちょう料理を特別に成績よく作ったという報告に過ぎなかった。これなら給仕ギャルソンもマネージャアに聞えて差支えない。大きな声でいえる。
食魔に贈る (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
これは! と、あきれて、声もなく顔を見合わしている二人のそばへ、四方八方から駆け寄って来たのは、空色の家令服に白い長靴下をはいたカジノの給仕ギャルソン達、およそ二十人あまり
給仕ギャルソンがキャンヴァスの袋に入った救命具を頭の上の網棚へ載っけてあるく。すごいことになった。フォークストンの海岸までまだ二十分もある。ここでボチャンと落ちたらふかの餌食だ。
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「なんですか? 別に用事はありません」と、いうと、給仕ギャルソンたちは声をそろえて