終宵よっぴて)” の例文
「私だって疲れてるじゃ有りませんか——ああ、復た今夜も終宵よっぴて泣かれるのかなあ。さあ、お黙りお黙り——母さんはもう知らないよ、そんなに泣くなら——」
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「田舎者は、お前、たまに東京などへ出て来ると、よく寝られすか。車の音がもう終宵よっぴて耳について」
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あの終宵よっぴて伴侶つれを呼ぶような、耳についた声は、怪しく胸騒ぎのするまで捨吉の心を憂鬱にした。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)