紹巴じょうは)” の例文
小田原陣が終つて京都に帰つた頃はいつぱしの茶の湯好きで、利久や紹巴じょうはなどゝ往来し、その晩年は唯一の趣味の如き耽溺ぶりですらあつた。
黒田如水 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
やがて西之坊の広間で、光秀を主とする饗膳きょうぜんの宵が過された。ここでは紹巴じょうはやその連れもひとつになり、また山房の住持たちも席にまじわった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
紹巴じょうはという茶人は、海辺の野花と漁家の形をした青銅の香炉に配するに、海岸のさびしい美しさを歌った和歌をもってした。その客人の一人は、その全配合の中に晩秋の微風を感じたとしるしている。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
「久しく紹巴じょうはのはなしを聞かないな。ここへよべ」
すき返せ草も花咲く小田の原 紹巴じょうは
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
船とめし枕は秋のうら浪に 紹巴じょうは
俳句とはどんなものか (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
小田原陣が終つて京都に帰つた頃はいつぱしの茶の湯好きで、利休や紹巴じょうはなどゝ往来し、その晩年は唯一の趣味の如き耽溺ぶりですらあつた。
二流の人 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
紹巴じょうはは来ておるか。……なに、もうくに登って待っておるとか。いや、それは満足。そして都の歌詠うたよみたちも、幾名か連れて来ておろうな」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雨ならぬ夕も花の木陰かな 紹巴じょうは
古池の句の弁 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
臣として主を弑逆しいぎゃくするなどということは、この紹巴じょうはのあたまには考えようとしても考えられぬ。たとえ変だと気づいても自分の道義が合点しません。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)