素頓狂すっとんきょう)” の例文
素頓狂すっとんきょうな声で、馴染なじみの男の足をとめておいて、お品は帯を猫じゃらしに振りながら、孫兵衛の側へかけていった。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
顎十郎は酔眼朦朧もうろう。春霞のかかったような、とろんとした眼つきで藤波の顔を見あげながら、素頓狂すっとんきょうな声
顎十郎捕物帳:16 菊香水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そこんところで、突然に現われた赤いふんどしの若造が一人、素頓狂すっとんきょうな声を張り上げて
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
おぼろの明りにすかし見た与の公、素頓狂すっとんきょうな声をあげて
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ピョーイと素頓狂すっとんきょうに飛び上がると
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
ところで、この示威運動デモンストレーションはあまり民衆の支持を得ない。四人の質実な精神は理解されないのである。低俗な民衆の眼には、どうも、すこし素頓狂すっとんきょうに見えるらしい。
キャラコさん:07 海の刷画 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
と、上から、素頓狂すっとんきょうな声がしてきた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)