紙切かみきれ)” の例文
良寛さんも、この頃では齢をとつて、忘れつぽくなつたので、忘れないやうに、持物を紙切かみきれに記しておいた。それには、おほよそかう書いてあつた。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
辰男はそれ等を本箱に收めて、紙切かみきれ一つ置かれてゐないテーブルの前に腰を掛けた。
入江のほとり (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
その男はさっと眼のくらむような強い電灯の光を二人の少女にあびせかけて、長い間彼女たちの蒼白い顔を眺めていたが、実に悠々とおちつき払って、帽子をかぶり、紙切かみきれと二本の藁くずとを拾い
私の眼の前で風呂敷を解くと中味は杉折りを奉書ほうしょに包んだもので黒の水引がかかっていて、その上に四角張った字で「妙音院高誉靖安居士……七回忌」と書いた一寸幅位の紙切かみきれが置いてあった。
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
あやしい紙切かみきれ
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)