ほつ)” の例文
はげしい格闘が、じきに二人のあいだに初まった。小野田が力づよい手をゆるめたときには、彼女のびんがばらばらにほつれていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
頬が寒い風にって来たので紅味あかみを差して、湿うるみを持った目が美しく輝いた。が、どことなく恐怖を帯びている。唇の色もうすく、ほつれ毛もそそけていた。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
お客の馴染なじみもできて、出先の顔も立てなければならないはめにも陥り、わざとコップ酒など引っかけ、びんの毛もほつれたままに、ふらふらして夜おそく帰って来ることもあった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
女はびんほつれ毛をき揚げながら振り顧った。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)