もちごめ)” の例文
ハゼと云うのは、もちごめってふくらましたものを申しますな。どう云う字を書くか存じませんが、多分あれを炒る時にぜるからハゼと申すのでしょうか。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「化粧に、顔へけるものさ。鉛華えんかもあれば、もちごめの粉でこしらえたものもある」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
稲穂は種々いろいろで、あるものはすすきの穂の色に見え、あるものは全く草の色、あるものは紅毛あかげの房を垂れたようであるが、その中で濃い茶褐色ちゃかっしょくのがもちごめを作った田であることは、私にも見分けがつく。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)