篤学とくがく)” の例文
旧字:篤學
ボーモンは、三十八歳のサンバードより十は確実に年上の、独身で篤学とくがくの研究熱心な学者だったが、ひどく人づきあいの悪い男である。
蒐集 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
「君は、彦田博士を知らないのか。博士は、篤学とくがくなる化学者だ。そして極東薬品工業株式会社の社長だ。今、呼ぼう」
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まことに及び難き篤学とくがくでもあったのである、間違ってはいけないがそれは単なる知識の量ではなく、これを処理した、岡本先生の詩人的要素でもある。
銭形平次打明け話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
篤学とくがくな研究者で、新しい気象と物理との雑誌をたくさん見せてくれた。私にはどれも非常に珍しいので、久しぶりで妙なところで文明の雰囲気に浸ったような気持になった。
ネバダ通信 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
身方みかたの親戚知友はもとより新夫人の両親骨肉および「鷹の宿」の隣家に住める医師、兼、弁護士の免状所有者にして、篤学とくがくの聞え高きランドルフ・タリスマン氏迄も招待して、盛大なる華燭の典を挙げ
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
博士は顔を挙げて、一方だけあかった窓の彼方かなた、真っ黒な夜の空を眺めやりました。其処そこには、二丁程距てて、この篤学とくがくの博士を捨てた、流行歌手若菜が、乱倫極まる生活を営んで居る筈だったのです。
音波の殺人 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)