“筑土(つくど)” の例文
彼らは筑土(つくど)を下りて、柿の木横町から揚場(あげば)へ出て、かねてそこの船宿にあつらえておいた屋根船に乗るのである。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
女はそのときこんどは明らかな逃足(にげあし)になり、川岸を左へ曲り、暗い椎(しい)の木のある筑土(つくど)の角へ曲ろうとしました、そこは多門の屋敷のある小路だから、多門はいそいでその女の肩さきへ手をかけ
ゆめの話 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
これを東京の九段におられる能小鼓の名人で高林弥九郎という人が見かねて東京に呼び寄せ、牛込の筑土(つくど)八幡の近くに小さな家(うち)を借りて住まわせて下すったので父はやっと息を吐(つ)いたという事である。
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)