窠宿とや)” の例文
降り続く大雪に、伯母おばに逢ひたる心地ここちにや、月丸はつま諸共もろともに、奥なる広庭に戯れゐしが。折から裏の窠宿とやかたに当りて、鶏の叫ぶ声しきりなるに、哮々こうこうと狐の声さへ聞えければ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
すなわち裏の垣より忍び入りて窠宿とや近く往かんとする時、かれ目慧めざとくも僕を見付みつけて、驀地まっしぐらとんかかるに、不意の事なれば僕は狼狽うろたへ、急ぎ元入りし垣の穴より、走り抜けんとする処を
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)