窒扶斯ちぶす)” の例文
四十年ぜん窒扶斯ちぶす巣窟さうくつと云はれたこの地が、今では医科大学での臨床材料として毎年一二の窒扶斯ちぶす患者をる事すら甚だ困難なさうである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
伝染病が襲うて来るも此月だ。赤痢せきり窒扶斯ちぶすで草葺の避病院が一ぱいになる年がある。真白い診察衣しんさついを着た医員が歩く。大至急清潔法施行の布令ふれが来る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
その次の間の仏壇にはつい先月窒扶斯ちぶすで亡くなった母親の位牌いはいが、灯明の灯にてらされながら、立ちのぼる淋しい香煙にからまれていました。その次が蕗子の居間です。
流転 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)