突貫つきぬ)” の例文
じきさそこに、すくすくと山の形さあらわれて、やみの中突貫つきぬいて大幅な樹の枝が、※のあいだにゆすぶれてな、帆柱さ突立つったって、波の上を泳いでるだ。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
最早もう家はないのだが、くずれて今にもたおれそうな便所が一つ残っている、それにうまく孟宗竹もうそうちくの太いのが、その屋根からぬっきり突貫つきぬけて出ているので、そのめに、それがたおれないで立っているのだ
怪物屋敷 (新字新仮名) / 柳川春葉(著)
焼火箸を脇の下へ突貫つきぬかれた気がしました。扇子おうぎをむしってちょうとして、勿体ない、観音様に投げうちをするようなと、手がしびれて落したほどです。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)