突喊とっかん)” の例文
投げ柴の火光などが火のたすきとなって入り乱れているあいだを、金鼓、矢うなり、突喊とっかんのさけび、たちまち、耳もろうせんばかりだった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三人声を揃えて突喊とっかんすると、おどろいた一群は小石を蹴って跳び上りさま、これも上河内の方面に逃げ去った。
大井川奥山の話 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
黙示の頁を剥奪すべき勇敢なる人々は、大いなる突喊とっかんの声を持たねばならぬ。
黙示のページ (新字新仮名) / 横光利一(著)
明軍の大将軍砲、仏郎機フランク砲、霹靂へきれき砲、子母砲、火箭ひや等、城門を射撃する爆発の音は絶間もなく、焔烟は城内に満ちる有様であった。日本軍は壁に拠って突喊とっかんして来る明軍に鳥銃をあびせる。
碧蹄館の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
彼奴等の城壁へ突喊とっかんする殺気がむらむら湧き立ち上がる
(新字新仮名) / 今村恒夫(著)
六里の道を迂回して、西涼の夜襲隊が、曹操の中軍めがけて、不意に突喊とっかんしてみたところ、そこは四方に立ち並ぶ旗やのぼりばかりで、幕舎のうちには、一兵もいなかったのである。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)